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睡眠中に暴れる・大声を出す

夜驚症(睡眠時驚愕症)とは

夜驚症(睡眠時驚愕症)とは夜驚症(やきょうしょう、睡眠時驚愕症)とは、睡眠中に突然、強い恐怖を感じたように大声で叫ぶ、泣く、目を見開く、起き上がるなどの激しい行動が現れる睡眠障害です。本人は強いパニック状態に見えますが、完全に目覚めているわけではなく、声をかけても反応が乏しいことが特徴です。
この状態は、深いノンレム睡眠から不完全に覚醒してしまうことで起こると考えられています。主に2〜6歳ごろの小児に多くみられ、いわゆる「夜泣き」の一部として経験されることもあり、決して珍しいものではありません。
多くの場合は一過性で、小学校高学年から思春期にかけて自然に改善していきます。成人で発症することはまれですが、強いストレスや睡眠不足、基礎疾患が関与することがあります。
症状自体は必ずしも病的とは限りませんが、頻度が高い、症状が激しくなっている、本人やご家族の生活に支障が出ている場合には、睡眠障害の一つとして医学的な対応が必要となることがあります。

原因・起こりやすい要因

夜驚症(睡眠時驚愕症)は、深いノンレム睡眠から脳が不完全に覚醒してしまうことによって起こる睡眠障害です。完全に目覚めている状態でも、完全に眠っている状態でもない「中途半端な覚醒」が、強いパニック反応を引き起こします。
発症には以下のような要因が関与していると考えられています。

脳の成熟過程(小児に多い理由)

夜驚症は2〜6歳の小児に多くみられます。これは、睡眠を調整する脳の機能がまだ発達途中であり、睡眠と覚醒の切り替えが不安定なためです。そのため、多くの場合は成長とともに自然に改善していきます。

睡眠不足・不規則な生活リズム

就寝時刻が不規則であったり、睡眠時間が不足していると、深いノンレム睡眠が増加し、夜驚症が起こりやすくなります。夜更かしや昼寝のしすぎも誘因となります。

心理的ストレス・環境の変化

入園・入学、引っ越し、家庭環境の変化などによる心理的ストレスは、夜驚症の発症や悪化に関係します。本人が自覚していなくても、心身の緊張が睡眠の質に影響することがあります。

発熱・体調不良

発熱時や感染症などで体調がすぐれないときは、睡眠が不安定になり、夜驚症が起こりやすくなります。

遺伝的要因

夜驚症は家族内でみられることがあり、睡眠時遊行症(夢遊病)などのパラソムニアが家族にいる場合、発症リスクが高まるとされています。

成人における夜驚症

まれに成人で夜驚症がみられる場合があります。この場合、強いストレス、睡眠不足、アルコール摂取、睡眠時無呼吸症候群などの他の睡眠障害が背景に存在することがあり、精査が必要です。

ご家庭で見守る際には、発作中に転倒や衝突などでけがをしないよう寝室環境を整えることが大切です。また、日中の過度な疲労やストレスを避け、規則正しい睡眠リズムを保つことが、症状の軽減につながります。

受診の目安

夜驚症は成長とともに自然に改善することも多く、必ずしも治療が必要とは限りません。しかし、次のような場合には、睡眠障害の専門的な評価を受けることをおすすめします。

  • 叫び声や暴れる行動が頻回にみられ、睡眠が大きく妨げられている
  • パニック時にベッドから飛び出す、物にぶつかるなど、ケガの危険がある
  • 年齢が上がっても症状が続く、小学校高学年以降や成人になってからも改善しない
  • 症状が次第に強くなっている、回数が増えている
  • 日中の眠気、集中力低下、情緒不安定など、日常生活への影響がみられる
  • 悪夢をはっきり覚えている、金縛りや幻覚を伴うなど、他の睡眠障害が疑われる
  • 強いストレス、不安、発達特性、精神的な不調が背景にある可能性がある
  • いびきや無呼吸があり、睡眠時無呼吸症候群などの合併が疑われる

夜驚症と似た症状を示す睡眠障害や神経疾患が隠れていることもあります。 「成長のせい」「よくあること」と自己判断せず、心配な場合は早めにご相談ください。

診断方法

診断方法夜驚症(睡眠時驚愕症)の診断は、ご家族からの詳しい聞き取り(問診)を中心に行います。
発作そのものを本人が覚えていないことが多いため、周囲の方からの情報が非常に重要です。
まず、発作が起こる時間帯(入眠後どのくらいか)、頻度や持続時間、叫び声・動きの様子、目を開けているかどうか、声かけへの反応、発作後の様子(すぐ眠る・覚えていないなど)を確認します。
夜驚症では、入眠後まもない深いノンレム睡眠中に突然起こり、本人に発作の記憶がないことが特徴です。
あわせて、睡眠時間や生活リズム、就寝環境、日中の眠気や行動の変化、最近のストレスや疲労の有無なども詳しく伺います。
発熱や感染症、睡眠不足、精神的ストレスが引き金となっていないかを確認します。
症状が強い場合や経過が非典型的な場合には、他の睡眠障害との鑑別が重要になります。
特に、レム睡眠行動障害、悪夢障害、てんかん、睡眠時無呼吸症候群などと区別するため、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行うことがあります。
この検査では、脳波・呼吸・筋電図などを同時に測定し、発作が起こる睡眠段階や脳の状態を詳しく評価します。
必要に応じて、小児科・神経内科・精神科など他科と連携し、背景にある疾患や心理的要因の評価を行うこともあります。
夜驚症は経過観察でよい場合も多い一方、正確な診断が安心につながることも少なくありません。症状が気になる場合は、早めの受診をおすすめします。

治療・家庭でできる対応

夜驚症(睡眠時驚愕症)は、多くの場合、成長とともに自然に軽快する睡眠障害であり、必ずしも薬物治療が必要になるわけではありません。治療の基本は、安全の確保と睡眠環境・生活リズムの調整です。

家庭でできる対応

家庭でできる対応発作が起こっている最中は、無理に起こそうとせず、静かに見守ることが大切です。
強く揺すったり声をかけたりすると、かえって興奮が強まり、発作が長引くことがあります。
本人は意識がはっきりしていないため、翌朝には出来事を覚えていないことがほとんどです。
ケガを防ぐため、寝室の安全対策を行いましょう。
ベッド周囲の家具の角を避ける、転落防止の工夫をする、危険な物を置かないなどの配慮が重要です。
また、規則正しい生活リズムを整えることは非常に効果的です。
就寝・起床時刻をできるだけ一定にし、十分な睡眠時間を確保します。
就寝前のテレビやスマートフォン、ゲームなどの刺激は控え、リラックスできる環境を整えましょう。
日中の強い疲労や精神的ストレスは夜驚症を悪化させる要因になります。
学校生活や家庭環境で無理がかかっていないかを見直し、安心して過ごせる時間を確保することも大切です。

クリニックで行う治療

クリニックで行う治療症状が頻繁で激しい場合や、年齢が上がっても改善しない場合、日常生活に支障が出ている場合には、医療的な対応を検討します。原因として、睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群、てんかん、他の睡眠障害などが関与している場合は、それらの治療を優先します。背景に不安や心理的ストレスが強く関与している場合には、心理的サポートや睡眠指導を行うこともあります。
一部の例では、症状を抑える目的で薬物療法を検討することがあります。